レインズ(不動産流通標準情報システム)は、仲介業務で物件を探すための土台です。ただ、実際に一日使ってみると、物件を「探す」時間よりも、探した後の住所の突き合わせ・資料づくり・段取りに時間が溶けていることに気づきます。
この記事は、レインズまわりの業務を効率化するための入り口です。現場でよく詰まる4つの場面ごとに、何が起きているのかと、具体的な解決策をまとめました。それぞれ詳しい手順を書いた記事にリンクしていますので、当てはまるところから読んでください。

どこに時間が溶けているのか
レインズを使う業務を分解すると、おおむね次の流れになります。
- 条件を入れて検索する
- 検索結果を見て、候補を絞る
- 候補の位置関係を把握する
- 資料にまとめる、共有する
- 案内の順番を組む
このうち1と2はレインズの標準機能でほぼ完結します。時間が溶けるのは3以降です。検索結果は住所の文字列で並んでいるだけなので、位置関係を知るには頭の中か地図アプリで変換する必要があり、共有しようとすれば転記が発生します。
つまりレインズ業務の効率化とは、「検索を速くすること」ではなく、検索した後の変換・転記作業をなくすことだと考えると、打ち手が定まります。
場面1:物件の位置関係がつかめない
もっとも多いのがこれです。検索結果に20件並んでいても、それが駅を挟んで反対側なのか、同じ町内に固まっているのかは、住所を1件ずつ地図で調べるまで分かりません。担当エリア外や、経験の浅いスタッフならなおさらです。
従来は、住所をGoogleマップに1件ずつ貼り付けるか、Googleマイマップに手入力するか、紙の住宅地図にマーカーを引くかでした。いずれも「できなくはないが毎回やるには重い」方法です。
解決策は、検索結果をそのまま地図に一覧表示してしまうことです。手順は次の記事にまとめています。
場面2:一覧を社内やお客様に渡せない
検索結果は画面の中にあるだけで、そのままでは持ち出せません。上長への報告、お客様への提案リスト、社内の共有フォルダ——いずれも結局は転記になります。転記は時間がかかるうえ、価格や面積の写し間違いという事故のもとでもあります。
ここはCSV・Excelとして書き出せれば、並べ替えも絞り込みも資料化も一気に楽になります。
→ マイソク作成を時短する方法|転記・写真・位置図の段取り術
場面3:そもそも画面が使いにくい
「見にくい」「毎回同じ条件を入れ直すのが面倒」「情報が探しづらい」——こうした細かなストレスは、1回あたりは数十秒でも、毎日積み重なると相当な時間になります。
画面そのものは変えられませんが、使い方の工夫と補助ツールで軽くできる部分があります。
場面4:案内の順番組みに時間がかかる
候補が5件あるとき、どの順番で回るかで所要時間も、お客様の印象も変わります。前日の夜に地図とにらめっこして順番を考える——という方は多いはずです。
位置関係が地図で見えていれば、この作業は数分で終わります。順番の考え方は次の記事にまとめました。

着手する順番
4つ全部に同時に手をつける必要はありません。おすすめの順番は次のとおりです。
まず地図化から着手してください。位置関係が見えるようになると、場面4の案内ルートは自動的に解決しますし、場面1で使っていた「住所を1件ずつ調べる時間」がそのまま浮きます。効果が一番大きく、体感しやすい部分です。
次にCSV出力です。地図で候補を絞れるようになった後だと、書き出す対象が明確になっているので、資料づくりがそのまま速くなります。
画面の使い方の工夫は、この2つで浮いた時間の中で少しずつ試すので十分です。順番を逆にして細かい工夫から入ると、効果が見えにくく続きません。
どれくらい時間が浮くのか
効率化の話は「なんとなく楽になる」で終わりがちなので、時間に置き換えて考えてみます。
住所1件をGoogleマップで調べて位置を確認するのに、コピー・貼り付け・地図の読み込み・戻る操作まで含めると、慣れていても30秒前後はかかります。検索結果20件なら10分です。これを1日2回、月20営業日行えば、月に6時間強を住所の変換だけに使っている計算になります。
CSVへの転記も同様です。20件を手で写せば、確認しながらで15分から20分。週に2回で月に2時間前後です。
合計すると月8時間ほど。1日分の稼働に相当します。この時間を接客準備や査定の根拠づくりに回せるかどうかが、効率化の実質的な意味です。逆にいえば、浮いた時間の使い道を決めていないと、効率化は雑務に吸収されて消えます。
ツールを検討するときの注意点
レインズまわりには補助ツールがいくつかありますが、選ぶ前に確認しておきたい点が2つあります。
ひとつは、そのツールがレインズ公式のものかどうかです。当社のRA MAP Extensionを含め、多くは第三者が提供する非公式の補助ツールです。公式・連携をうたうものには注意してください。あわせて、利用にはレインズの利用資格(宅建業者であること)が前提になります。
もうひとつは、物件データの取り扱いです。レインズの情報は会員向けに提供されているものですから、外部に転載したり、公開資料に実データを載せたりすることはできません。ツールを紹介する記事やデモで実画面が使われている場合は、その時点で少し慎重に見たほうがよいでしょう。
場面6:ひとり・少人数で全業務を回している
物出しから事務まで全部が自分に来る体制では、個別の時短テクニック以前に「減らす・型にする・任せる」の順で仕事全体を見直すのが近道です。少人数経営の時間の作り方は次の記事にまとめました。
まとめ
- レインズ業務で時間が溶けるのは検索そのものではなく、検索した後の変換・転記
- 位置関係の把握は地図化で、共有・資料化はCSV出力で構造的になくせる
- 案内ルートの設計は、地図化ができていれば自動的に軽くなる
- 着手は地図化 → CSV → 画面の工夫の順が効果を実感しやすい
それぞれの具体的な手順は、上記の各記事にまとめています。自社の業務でどこが一番重いかを思い浮かべながら読んでいただくと、着手点が決めやすいはずです。
▼レインズの検索結果を1秒で地図化 RA MAP Extension(14日間無料)
本記事で紹介しているRA MAP Extensionは、レインズを運営する不動産流通機構とは無関係の非公式な補助ツールです。ご利用にはレインズの利用資格が別途必要です。記事内の図はいずれも説明用に作成したもので、レインズの実データ・実画面は含みません。

ピンバック: レインズの検索結果を地図で一覧表示する方法 - WANTLE.inc
ピンバック: レインズが使いにくいと感じたときの改善策5選 - WANTLE.inc
ピンバック: 不動産営業で地図を武器にする|位置情報が効く5つの場面と、その前段の手間 - WANTLE.inc
ピンバック: 不動産の反響対応|初回接客までにやる物件準備7ステップ - WANTLE.inc
ピンバック: レインズの拡張機能が動かなくなったときの確認手順 - WANTLE.inc
ピンバック: マイソク作成を時短する方法|転記・写真・位置図の手間を減らす段取り術 - WANTLE.inc
ピンバック: ひとり不動産屋の業務効率化|全部自分でも回る3つの軸と低コストの工夫 - WANTLE.inc